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2010.11.24 Wednesday

「個性」って?

先日「月刊ショパン12月号」を買いました.

月刊ショパン,2010年12月号

10月にワルシャワで開催されたショパンコンクールの特集です. これが目当てだったのですが,インタビューに興味があったのです. 受賞者はもちろんですが,審査員のが特に.

受賞者のインタビューから見始めたのですが, 1位,2位,3位くらいまでは本人も嬉しい嬉しいという感じなのですが, 4位,5位となるとちょっと言葉の端々に影が見え隠れしていたり, グチっぽくなったり, インタビュアーが妙に気を遣っていたりします. その中で印象的だった(というかショックに近かった)のが, 5位のデュモン氏のインタビューの本文中に, 最終結果が出た後に審査員の1人が氏に言ったセリフが載っていて,

「あなたは音楽を一番に持ってきていたから優勝できなかった」

とのこと. これを見てちょっと考えてみたところ・・・

 

 

 

・・・意味不明.

 

 

 

つまり,もっと上位に入賞していた人たちは, 音楽以外を一番に持ってきていたと・・・そういうことでしょうか. そこで気になるのが審査員へのインタビュー記事なのですが, 雑誌には10人の審査員に対するインタビューが載っていて,そのほとんどの人が, 今回のショパンコンクールに対して「個性」というのをキーワードっぽく扱っています. 「個性的な演奏が多かった」とか「日本人には,ファイナルに残れるほどの個性を持つ人がいなかった」とか.

はて・・・ここで「個性」というのはどういう意味で使われているのでしょうか.

唯一の日本人審査員である小山実稚恵さんのコメントに, (『日本人には何か絶対的なものがなかった?』という意の問に対して)

「感じたのは,譜面からショパンを見てしまうということです.
(中略)
心から湧くものを表現して欲しい. 『誰に何と言われてもいい!』というくらいの思いがあればこそ,なのかなと思います.」

というのがあるのです.

でも,4位のボジャノフ氏の演奏を「解釈がわがまま」と評している審査員もしますし ・・・なんだかダブルスタンダードに見えてきました.

養老孟司の本(タイトル忘れました)で, 「個性というのは解釈にあるのではなく身体的特徴にある」という件があるのですが, 医者らしいコメントです. 解釈がホントに個性的だったら,他の人には理解されない,理解されるにしても時間がかかります. 解釈は,本来あるべき姿というか,スタンダードであっても, それを表現する人の(ピアノの場合は)指の長さであったり, 指先の柔らかさ,筋肉の付き方,腱の強さによって,奏でられる音楽が変わってきます. 同じ楽器を弾いても人によって音色が全くことなることがあるのは,もちろん技術的なこともありますが, 奏者の身体的特徴に起因することが多いと思います.

歌の場合はもっと顕著です.声は一人ひとり違ってソックリにすることは できませんし,なにしろ身体そのものが楽器ですから.

まあ,この問題については,自分自身がまだ考えがまとまってなくて, いろんな意見を聞く度に「なるほど」と感心してしまう, つまり揺れてしまう状態なので,時間をかけてジックリ考えてみたいと思います.

JUGEMテーマ:ピアノ

22:43 | 投稿者:スナフ|一般記事 | comments(1) | - | - | - |
2010.10.21 Thursday

ネット中継様様

ポーランドのワルシャワで開催された第16回ショパン国際ピアノコンクールが, (現地時間で)昨日全ての審査を終え,最終結果が出ました.

1位:Yulianna Avdeeva (ロシア)
2位:Lukas Geniušas (ロシア/リトアニア)
2位:Ingolf Wunder (オーストリア)
3位:Daniil Trifonov (ロシア)
4位:Evgeni Bozhanov (ブルガリア)
5位:François Dumont (フランス)
6位:該当者なし

オリジナルサイトは http://konkurs.chopin.pl/ です.

今回は, 10人のファイナリストのうち,半数がロシア勢だったことに驚き, 日本人参加者が全員,2次予選までで終わってしまったことを残念に思いました.

今回が前回までと違っていたのは,参加者の演奏をリアルタイムで観ることができたことです. 今までは,コンクールのプロセスはわからず,結果だけを知って, テレビの特番でダイジェストを観る程度でしたが, 今回は観ようと思えば,1次予選から本選までのすべての演奏を鑑賞できました. また,終わってしまった演奏であってもVideo archiveとして後から鑑賞できます. 時代は変わったものです.

ちなみに自分は,時差や仕事の都合で,リアルタイムではほとんど観られなかったですね. 1次予選は全滅,2次は1人か2人だったと記憶しています. 3次と本選は半分くらいです.

ですから今までは,結果を知っても「そうだったのか〜」と,そのまま受け入れていましたが, 今回は参加者の演奏を観ているので,自分の印象とのギャップがあることを実感しました. この結果というのは,本選の演奏のみで決まるのか,予選の得点?も付加されるのかわからないのですが, 自分自身の勝手な判断によれば, 本選の協奏曲で,一番オーケストラと一体化していたのは5位のデュモン氏だと思います. ソロでの演奏(つまり予選)を聴いた段階では,デュモン氏と同じくらい, 2位のゲニューシャス氏にも注目していたのですが, 本選の演奏では存在感がありすぎて,ソリスト : オケ = 2 : 1 か 3 : 1 になっていたように思います. デュモン氏は完全に 1 : 1 になっていると思いました.

1位のアヴデーエワさんの演奏は,リアルタイムでは聴き逃したので,これから鑑賞してみようと思います.

とにかく,ネット中継があったおかげで,今までより数倍以上,ショパンコンクールを楽しむことができました. さまさまです.


23:23 | 投稿者:スナフ|一般記事 | comments(0) | - | - | - |
2010.10.19 Tuesday

変化

現在開催されているショパンコンクールのネット中継を見るようになってから, ピアノ弾くのが楽しくてしょうがなくなりました. 別に今までつまらなかったわけではないのですが,ウチの狭い練習室で弾いているとき, 曲のホンの一部分を弾いているときですら,毎回毎回,新しい発見があります.

・・・すいません.「毎回」は言い過ぎです.ときどき新しい発見があります.

メカニズムがなんとかなるようになったとき,というよりは, それまでよくわからなく退屈になっていたところが何となく「こうなっているんじゃないのか?」と思ったときです. そういうときって,それまでどうすればわからなかったところの表現が自然に決まってきます. 目からウロコ状態です. 「自分がこうしたいから」というより「自然にそうなる」, 「素直に考えればそうなる」と言った方が適切かもしれません. 1回さらっただけですべてが判るわけではないので, 弾く度に少しずつ解明されていく感じで,だから毎回発見したような気になるのです.

もちろん自分の勘違いもあるので,素直に考えた結果が実は違ってたということも十分ありえますけどね・・・

今抱えているノルマは比較的メカニズムに余裕があるので,こういうふうに考えられるのかもしれません. 今一番キツイのはホ短調協奏曲の伴奏です. それに限らず,音追いかけるだけで精一杯となってしまう曲だと,カラクリが見えていても実現できない, 演奏には反映されないことの方が多いですからね. だから若い人で,11度届いて,指が強く,しかも速く正確に回る人を見ると羨ましくなることもあるのですが・・・無い物ねだりですね.

知人で,この類のことを極めている方がいて, 自分もそう考えられるようになりたいとは思うのですが,それは理想像で, 実際には自分に不足しているものがまだまだ多く,少なくとも今の段階では, これについても無い物ねだりです.


00:46 | 投稿者:スナフ|一般記事 | comments(0) | - | - | - |
2010.08.13 Friday

いろおんぷ

幼少,まだピアノを習いたての頃, 五線譜に書かれた音符と,その音名を覚えるために, 白地図のように白抜きになっている音符に自分で色を塗る練習帳のようなものがありました. 「ド」は赤,「レ」は黄色,・・・のようにドからシまで7色使って音符に色を付けることにより, それはカラフルな楽譜が出来上がりました. これにより,譜面上の音符を見たとき「ド」とか「レ」とか考えずに, 色により(感覚的に)音符と鍵盤とリンクさせることができるようになったのだと思います.

#このころはまだシャープやフラットは登場していないので,これで十分でした.

さて,来月上旬の演奏会で「ショパン:舟歌作品60」を演奏する予定です.

ショパン:舟歌

この曲に出会ったのは,高校生の頃だったと思います. 譜面を見てわかる通り,#だらけの曲で,音を掴むのが大変でした. 当時,あまりにもシャープが多いので,幼少の頃の教本を思い出してか,

「シャープがつく音符には色を塗ろう」

と思い立ち,近くにあった黄緑色の色鉛筆で#のつく音符すべてを色づけてみました. するとほとんどが黄緑になってしまい,逆に#がつかない音符が判らなくなってしまったので, 何もつかない音は黄色で区別することにしまいした. すると,当時使っていたのは全音のピース版の冒頭部分は

ショパン:舟歌色つき1

のようになりました. 以降,地味な作業を続けていたのですが, 曲がそこそこ長いため,途中で「もうやめようか」とも思ったのですが, 高校生ながら変にガンコなところがあったせいか,最後までやり遂げました. 曲のクライマックス部分は

ショパン:舟歌色つき2

となりましたけど・・・ まあ,当時この作業が功を奏したのか,譜読みはかなりラクになったように記憶しています. 他人にはあまりお勧めできない方法ですね.

#ダブルシャープは緑で塗ることにしていました.

大学生の頃,ちょっとだけ弾いていた時期があったように思いますが, 事実上今まで放ったらかしになっていました.

約20年経った今年, ショパンのメモリアルイヤーということで, 久しぶりにこの曲と対面しました. 20年経っても曲は変わらないハズなのに,違って見えます. 20年で変わったのは自分の方ですね. 高校生の頃に比べれば,曲の中身について多少は考えるようになっていると思うので, 当時よりはマトモな演奏を目指したいと思います.


12:47 | 投稿者:スナフ|一般記事 | comments(0) | - | - | - |
2010.04.16 Friday

アーティキュレーション

今年はショパンの生誕200周年ということで,数年ぶりにショパンの曲をいろいろ手がけているのですが, 譜面上,以前は気にしていなかったところがヤケに気になるようになってしまいました. それは,タイトルにあるように,ズバリ「アーティキュレーション」です. 特に「スラーのつながり方」です.最近まであまり気にしないで済んだのは, 数年間ショパンはマトモに取り組んでいなかったのと,それ以外の作曲家の楽譜に書かれているスラーが, すごく素直な感覚で同意できるもので,違和感を覚えなかったからです.

昨年主に弾いていたシューベルトは,やはり歌曲王と言われるだけあって, 曲のメロディーは歌なんですよね. だからメロディーにつけられたスラーは人間が歌うときの自然な呼吸とほとんど一致していると思います. アルベニスはメカニズム的に余裕がなかったせいか,そこまで気に出来なかったのかもしれません.

ところが,ショパンに手をつけてみると,曲につけられたスラーには, どこか違和感を感じるものがあって,故井上直幸氏の「ピアノ奏法」というDVDでは, モーツァルトを指して

「この人,なんか難しいこと言ってんのよね.」

とコメントされていますが,それと同じような印象を持ってしまうのです.

#このDVDは,この人のキャラが面白くて,今でもちょくちょく観ることが多いのですが・・・

ピアノでメロディーラインをなぞるとき, 私が小学生の頃バッハの曲に対しておっかない師匠からも言われていたように,

順次進行ではスラーでつなげて,跳躍するときは切る.

というのが感覚に合うように思います. ところが,現在練習しているショパンのピアノ協奏曲ヘ短調の第3楽章の冒頭に

ショパン:ピアノ協奏曲作品21第3楽章その1
(ヘ短調,♭×4,上段がト音記号,下段がヘ音記号)

という箇所があるのですが,1小節目上段「F↑F↓E↓Es」について「F↑F」の1オクターブ跳躍にスラーがつき, 「F↓E」の半音の順次進行ではスラーが切られています. スラーが付いている部分をカッコでくくると, 素直な感覚だと「(F)↑(F↓E↓Es)」というアーティキュレーションになると思うのですが, どうも違和感を覚えます.

「順次進行と跳躍」とは違いますが,同じ音型でもアーティキュレーションを変えているのです.

ショパン:ピアノ協奏曲作品21第3楽章その2
(調性は上の譜例と同じ)

1回目は「(C↓As)↓(D↑F↑G↓F↓Es)」となっていますが, 2回目は「(C↓As↓D↑F↑G↓F↓Es)」と,全体がスラーでつながっています.

もっと以前から気にするべきだったかもしれませんが, 一旦こういうことを気にし始めるとノイローゼになりそうです.

もっとも,自分は「楽譜絶対主義」ではないので, 自分の主張が強ければ譜面の指示にとらわれることはないのですが, 今の段階では,譜面に書かれているものより説得力のある表現を見出せていません. つまりツッパらずに譜面をそのままなぞることしかできないのですが・・・

あと,ショパンの楽譜は,厄介なことに, 出版社によっては音もアーティキュレーションも全く異なることがあります. 来週演奏予定のショパン:ワルツ作品69の2の最初の方で,ネットでダウンロードした譜面だと

ショパン:ワルツ作品69の2その1

と,最初の2小節の上段は「(D↓Eis)↑(D↓E)↑(Cis・・・」となっているのですが, 自分がもっているPetersの楽譜だと,この部分は「D↓(Eis↑D)↓(E↑Cis)」となっています. 他のは調べていませんが,きっとまた別のアーティキュレーションになっている可能性大です.

そうなると「どの(出版社の)楽譜がいい?」となるのですが, 巷ではパデレフスキー版やエキエル版がと言われていますが, 実際には多くのピアニストは,いろんな楽譜を総合的に見て「自分で判断して」決めているようです. 前回のショパンコンクールでも,使っている楽譜はコンテスタントによってまちまちでした. この回のとき「エキエル版を推奨」とか言われたため,日本人参加者の多くはエキエルにしたようです. 日本人はこの手の規則に従順なようです.

さて,自分ですが,今のところ楽譜に書かれているよりいい解釈を持ち合わせていないので, とりあえず従ってみることにしています. もっと練習を重ねていくうちに「こうした方が自分の主張に合う」というものが出てくるかもしれません. バチ当たりは承知の上ですけどね.

(注) 「2度」の音程で旋律が流れること.例えば『ド』から次の『レ』,『ミ』から次の『ファ』.

JUGEMテーマ:ピアノ

18:35 | 投稿者:スナフ|一般記事 | comments(0) | - | - | - |

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